「キャリアアップしたい」「人生を変えたい」「独立したい」「専門職に就きたい」。。などの理由から資格取得を考えることも多いと思います。
中でも社会保険労務士(社労士)は30代~40代の方々に人気の資格。令和元年度の試験では、30代と40代が全合格者の64.6%を占め、50代の合格者も27.2%います。(社会保険労務士試験オフィシャルサイトより)
社労士資格は、企業の人事部や総務部で重宝されるだけでなく、独立開業も可能。扱う内容が雇用保険や労災保険、年金や健康保険など、労働者である私達に親しみがあるという点も人気の理由のようです。
ただし、合格率は6%台~8%台で推移しており、難関資格となっています。令和元年度の合格率も、6.6%。難関だからこそ価値があるともいえるでしょう。
私は平成20年度にアラフォー受験生として社労士試験に挑戦し、一発合格しました。この資格のおかげで、地方在住、シングルマザーであるにも関わらず、正職員に就くことができたといっても間違えありません。
今から10年以上前の合格ではありますが、当時も合格率は7.5%、出題形式や出題範囲には変更ありません。
そこで、この記事では、これから社労士試験合格を目指す方のご参考に、社労士試験に一発合格するために私がやったことをご紹介します。
(私の社労士試験合格証書です)
社労士試験一発合格のためのスケジュールと学習時間
社労士試験は、毎年8月最終日曜日に実施されています。そして、合格発表は11月初旬。
合格発表の情報を受けてから、新しい問題集などが出そろうのは、11月~年末にかけてです。また、各予備校は9月頃から開講します。
というわけで(というのでもないですが)、最短で1年ほどあれば十分準備は可能です。中には半年ほどで合格まで持っていける人もいるようですが(私の知り合いは、最短4か月で合格!)、これはかなりの例外だと思います。
社労士試験は、労働基準法・労働安全衛生法・労災法・雇用保険法・国民年金法・厚生年金保険法・健康保険法・その他労働および社会保険に関する法律と、結構試験範囲が広いのです。
しかも、問題は重箱の隅をつつくような細かいことも出ます。4か月や6か月で合格レベルまで持っていける人は、相当勉強が得意か、ヤマかけが上手い人か、全ての時間を勉強に注ぎ込める人かのどれかかと思います。
一般的に、社労士合格に必要な学習時間数は、800~1,000時間など言われます。
仮に、準備期間を1年とすると、1日あたり2~3時間以上の学習が必要です。6か月ならば1日4時間半以上、4か月ならば6時間半以上を毎日続ける必要があります。
ですが、社会人として仕事をしながら受験をする人が多いのも社労士試験の特徴。社会人であれば、休みの日にまとまった時間は作れるかもしれませんが、平日は1~2時間の学習となるのが殆どかと思います。
それでも、スキマ時間などを利用してコツコツと学習すれば、1年間での合格は可能です。
私は、受験の前年8月に資格試験予備校の社労士講座を申込み、仕事をしながら勉強をつづけました。翌年4月に会社をリストラされてしまったため、予想外のフルタイム受験生になってしまい、4月下旬から8月下旬の試験当日までは、専業受験生として準備をしました。
おおよそのスケジュールはこんな感じでした。
8月~9月: 基礎期間(入門講座を受講)
10月~3月: 試験範囲を講座進度に沿って学ぶ(通勤電車でテキストを読むのみ)
4月~6月: 知識定着期間(テキストの精読と基礎問題の反復)
7月~8月: 過去問演習期間(5年分の過去問を7回転反復)
正直言って、前年8月~受験年4月までは、通勤電車の中で音声ダウンロードした講座を聞いたり、テキストを通読するだけで精一杯でした。時間にして、平日で1~2時間ほど。休みの日でも3~4時間ほどです。フルタイムワーキングマザーですので、それしか時間が取れなかったのです。
4月~6月は、リストラ退職のショックで精神的に折れそうになることもありましたが、「ここで受からなければ先に進めない!」と気持ちを奮い立たせて、基礎問題の反復とテキストの精読を行い、ともかく知識を詰め込みました。
7月~8月は、知識のインプットも十分ではない状態でしたが、足踏みしていても仕方がないので、エイヤと過去問演習に着手。他の人の合格体験記で「過去問は7回転すること」と読んだので、7回転以上を目指して解きました。
始めは分からない問題ばかりでしたが、「ともかく解いて先へ進む」という気持ちで取り組みました。2度目、3度目と解いていくと、スルリと答えが分かるようになり、「1回目のあの苦しみは何だったんだ。。」と拍子抜けするほど。反復の力はそれだけすごいです。
また、厚生年金保険法が苦手だったので、予備校の厚生年金保険法を単科講座を受講したり、ともかくできることは何でもやってみました。最後は、過去問や模試の問題を解きまくって量で勝負!記憶で勝負!みたいな、自分の中では「厚生年金保険祭り」状態でした(;^ω^)
リストラ退職の4月後半から試験当日朝までは、毎日10時間は勉強したと思います。それだけで、1,200時間ですね。それまで、会社員と両立して勉強した時間300時間程度だと思うので、トータルで1,500時間ほどは勉強したのかなと思います。
ただ、私の場合はリストラ退職をして後がない状態だったので、特殊といえば特殊です。
もし、あなたが会社員などの本業を持ちながら準備するのであれば、1,500時間とは言わなくても、1,000時間以上確保するためには、どのように時間を配分していくのか、考えながらやっていくと良いのではと思います。
社労士試験一発合格のための学習のコツ
社労士試験は、合格率が6%台~8%台なので難関資格の一つと言えるでしょう。
とはいえ、試験内容は、びっくりするほど難しくはありません。複雑な計算問題が出るわけでもなく、理解不能な方程式を解く必要もありません。
じゃ、「社労士試験の何が難しいのか?」というと、その試験範囲の広さと、重箱の隅をつつくような面倒な出題が原因かと思います。
つまり最終的には「全部覚えろーー!!!」になるところ(笑)
たとえば、下記は雇用保険の基本手当(いわゆる「失業給付」)が貰える日数(所定給付日数)の表です。
勤続年数や、年齢、離職理由によって、所定給付日数は違うのですが、これを全て覚えておかないと、この表のどこかの数字が抜かれた問題の穴を埋めよという問題が出たときに、答えられません。
1点が合否を分ける国家試験ですから、こういう基本的なところで点数を落とすわけにはいかないのです。
(ハローワークインターネットサービスより)
まぁ、本当に、重箱の隅をつつくような問題が出題されるのです。そういう問題を見ると「この試験は、受からせる試験じゃなく、落とす試験なんだな~」と思います。
そんなわけで、社労士試験で一番大切なのは「全部覚えてやる!」というメンタルだったりします(;^ω^)
そうはいっても、ただ覚えるのでは限界が来ますし、面白くもないですから、理解をして知識を入れ、問題演習を通してアウトプットできるようになるという、王道の学習方法が大事です。
社労士試験一発合格のための過去問特訓
資格試験全般に言えることですが、社労士試験でも、アウトプットの段階で一番大切なのは、過去問の反復です。
たまに「過去問と同じ問題は出ないんだから、過去問を反復しても仕方がない」という意見を聞くことがあります。でも、それ、逆です。
社労士試験のように、ある一定の基準をクリアして資格を与える資格試験の場合、基準は変わらないわけですから、過去問の焼き直しみたいな問題がバンバン出ます。ですから、過去問を何度も繰り返し「これ、見たことがある」という問題を増やして、確実に点数を取っていくことが大事です。
また、社労士試験の場合、社会保険関係の法律や労働関係の法律には法改正が多く、過去問では対応できないと思われることもあります。その点については、法改正により解釈が変わった部分は、その年の対策本に訂正や解説が書かれますし、法改正して間もない事項はあまり問題として出題されないので心配することはありません。
また、直前期になると、法改正に絞った本が出版されたり、各予備校で法改正講座が開講されたりしてウェブ受講などもできますから、チェックすると良いと思います。
過去問演習に取り掛かる時期ですが、早ければ早いに越したことはありません。なぜなら、いくら知識を詰め込んでも、問題を解く力がつかなければ合格はできないから。
遅くとも本番の4か月ほど前には着手すると良いと思います。社労士試験は、本番が8月最終日曜日頃ですから、GW開始時には過去問に着手するようなスケジュールですね。
過去問を解く際に、最初は全然歯が立たないと思います。そんな時は、ちゅうちょせず解答を見ましょう。そして、テキストのどこに書いてあるかを確認して、マーカーで塗りましょう。
ちなみに、テキストは、過去問を着手するまで、私はマーカーなどで色付けをしませんでした。自分で大事だと思って色付けしても、出題されなければそんなに大事じゃないのです。
それより、過去問で出題されたところの方が大事なので、過去問を解きながらマークしていきました。マークすると、過去に何度も繰り返された頻出ポイントがマーカーされて浮き上がってきますから、重点ポイント整理にも役に立ちます。
2回目あたりは、全問解きますが、3回目、4回目あたりは、できなかった問題のみ解いていきます。
そして、5回目以降は、時間を測って本番の時間内に解けるよう練習します。
私は、過去問5年分を7回転しました。8回転目で本番を迎えた感じです。
なぜ「7回転」なのか?ですが、なぜか、合格体験記を読んだ時に、7回転した人が多かったからです。
その後、東大を首席で合格した山口真由さんという方が、「東大首席が教える超速「7回読み」勉強法」という本を出しているので、「7回」という数字は悪くないのかなぁと思います。
東大首席が教える超速「7回読み」勉強法
東大を首席で卒業し、財務官僚、弁護士を経て、ハーバードへの留学経験を持つ山口真由さんが、その体験をもとに一生使える勉強法を紹介しています。本を7回読むことで、徹底的に知識を刷り込み、あらゆる資格試験から仕事まで、様々なシチュエーションで役立つ学びのコツが満載されています。 勉強方法が分からないという方へ、どんな読み方をしたら身につく学習ができるのかというヒントになります。 |
そんなわけで、過去問を7回繰り返すことを目標に、取り組んでみることをおすすめします。
社労士試験一発合格のためのメンタルトレーニング
社労士試験は、このところ合格率が6%台~8%台で推移しており、難関資格の一つに挙げられます。
が、この6%台~8%台という合格率に驚いて「自分には無理かも。。」と思わないことが、合格への第一歩です。
受験生の中には、試験範囲の広さや学習の面倒くささから、本気で取り組んでいない方もいるので、本当に本気の本気で取り組んでいる人だけならば、合格率はもっと上がるはずです。
あなたが本当に本気で取り組むならば、合格率なんて関係ないですよ。
あなたにとって、合格率は100%。
「これだけ勉強しているんだから、自分が受からなくて誰が受かるんだ!」そう思って取り組みましょう。
また、この試験は、試験範囲が広いことや、法改正が頻繁なこと、暗記することが山のようにあることから、短期戦で決着をつけると決めることをおすすめします。
私は幸い1回で合格できましたが、これを2回、3回と繰り返すのは、精神的にすごくつらいと思います。だって、受験生の間は、気が休まる暇がないのです。
私の友人は、4回目の受験で合格しましたが、本当にすごいと思います。フルタイムで仕事をし、シングルマザーとして育児もこなしながら、4回の受験。すごいド根性です。その後彼女は、会社で人事総務の仕事に異動し、生き生きと仕事しています。
何回目の受験で合格したって、同じ合格ですから、どちらが偉いとか偉くないとかいう問題ではありません。
だから、合格する!と決めたら合格するまでがんばれば良いのですが、どうせなら、短期で合格して、先へ進むことを考えていきましょう。
ただ、どうしても短期で合格できなかった場合でも、受かるまで粘ってください。試験が終わったら、我慢していたことをやって、家族や友達と遊んだり、好きなことをしてリフレッシュしてから、次に向かえばよいと思います。
社労士資格は、取れば一生ものですから「合格する」と決めたら最後までがんばりましょう!
社労士試験一発合格におすすめの受験予備校、教材
最後に、実際に私が社労士試験一発合格のために活用した講座や教材、オススメの講座をご紹介します。
社労士試験は、書店で本を購入して独学しても受かる試験です。
ただ、予備校や通信講座を受講することで、内容的にもスケジュール的にもずっと効率良く準備ができます。ぜひあなたに合った教材や講座を見つけてください。
LEC東京リーガルマインド 社労士講座 テキストや問題集、模試等がパッケージになった合格コース講座から、単価受講、書籍なども充実のLEC東京リーガルマインド。「絶対に合格したい!」という社労士受験生のやる気にこたえる充実したラインアップが魅力です。さらに、社労士合格後の就職にも強いと評判です。私も受験生の頃お世話になりました。⇒LEC東京リーガルマインド 社労士講座 |
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うかる! 社労士 テキスト&問題集 2020年度版
これ一冊で受験にも対応OK。予備校のテキストは複数冊になりますが、このテキストは一冊で網羅。独学に最適です。私は予備校講座テキストの他にこちらのテキストも併用して知識を定着させました。試験会場に持ち込んだのもこの本です。 |
ユーキャンの社会保険労務士講座
通信講座でおなじみのユーキャンの講座です。予備校よりもリーズナブルな価格帯で、充実した内容が魅力。11月開講予定。10月31日までのお申込みで「社労士はじめてレッスン」が読める特典付き。地道にコツコツ学習できる人に最適です。 |
社労士試験は、合格率だけ見ると難しい試験のように思えますが、コツコツと準備をすれば誰でも合格できる可能性のある試験です。
資格取得後は、独立開業だけでなく、人事部や総務部勤務などで重宝なものです。やってみたいと思ったときが挑戦しどき。がんばってください!応援しています。