40代で早期退職。その後どうする?後悔しないためにやりたいこと

このところ、大手企業でも早期退職募集に踏み切るところが多くなっています。

東京商工リサーチの発表によると、2019年上半期で見ても上場企業のうち17社が早期退職を行っています。具体的には、富士通や東芝、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス、アステラス製薬など聞いたことがある会社ばかり。

また、対象年齢は、45歳以上が10社、40歳以上が2社、35歳以上も1社あります。

早期希望退職募集の理由は、業績悪化によるもののほか、社内の業務効率化のためだったり、今は業績は良いものの今後を見据えた「先行型」の早期希望退職実施もあるようです。

こんな中、あなたの会社でも早期希望退職制度が実施されたらどうしますか?
早期希望退職に応じて辞めて、転身を図りますか?
退職せず、少なくなった人員で今の仕事を続けますか?

それぞれの選択ですが、もし今の仕事に行き詰まりを感じ、残るも地獄と思うなら、これを機に割増退職金をもらって潔く転職を図るというのもアリです。

ただし、40代での転職は厳しいのも実情。そこで、早期退職制度に応じたことを後悔せず、当面の生活をつなぎ、転職を成功させてその後の人生を輝かせるために大事なことを書いていきます。

早期退職に応じた場合の退職金の額を確認しよう

早期希望退職制度では、退職金が割り増しでもらえることが多いです。「募集」の形はとっても、会社の都合で実施するものですから、応じてくれる人には退職金を割り増して誠意を出すといったところでしょうか。

ただ、割り増しになるとはいえ、思ったより多くない場合もあります。モデルとして提示される金額だけでなく実際に自分の場合はいくらもらえるのか、しっかりと会社に確認しましょう。

金額を確認したら、その退職金をどのように使うのかを検討しましょう。

住宅ローンがあれば一括返済をしたり、老後資金として安全な金融資産に変えることも良いでしょう。子供がいる場合、教育費として手を付けないというのも良いでしょう。また、転職がすぐに決まるとも限らないので、転職が決まるまでの当面の生活資金の分も取っておくほうが良いでしょう。

大切なのは、金額を把握して、使い道を決めて守ること。

突然大きな金額を手にすることになるので、お金持ちになった気分になりますが、これは、早期退職をするためにもらうお金です。逆に言うと、次に転職をして、その会社に退職金制度があったとしても、勤続年数は短くなりますから、最終的にもらう退職金の額も少なくなるのです。自分の人生全体でみれば、退職金の前払いみたいなものです。パーッと使ってしまわないように気を付けてください。

退職日を確認してできるだけ長く在籍してから退職できるようにする

早期退職制度がの公表から退職日までは、短い場合だと2か月や3か月などの場合もあります。

早い方が退職金や条件が良いかも、と早く決断するほうが良いのかというと、そうでもありません。

というのは、短期間の間にその後の身の振り方が決まるとは限りませんし、会社に在籍している間は社会保険料を会社が折半負担してくれたり、在籍しながら転職活動をすることができたり、メリットも多いからです。

ちなみに早期退職制度ではありませんが、私は、会社都合のリストラ退職経験があります。その際、会社に交渉して退職日を伸ばしてもらったため、失業期間を短くすることができました。

やはり、40代以降の場合、いくらキャリアがあっても転職活動は厳しいものです。家族を抱えながらの転職活動となる人も多いでしょう。ブランク期間はなるべく短くして、キャリア的にも、社会保険的にも有利に運べるよう、なるべく会社に在籍しながら次への活動を進められるよう退職日については慎重に検討してください。

ハローワークで失業給付を申請しよう~会社都合退職は基本手当が早くもらえる

自己都合退職の場合、失業給付をもらうには、待期期間という最初の7日間のあと、3か月の給付制限期間があります。つまり、3か月間は失業手当がもらえないということ。4か月目からの受給になるので最初の3か月は貯蓄などでやっていかなければなりません。

でも、会社都合退職になる早期退職制度での退職の場合、失業給付は、7日間の待期期間のあと、すぐにもらえます。

ですから、早期退職制度で退職した場合には、すぐにハローワークで失業給付の受給申請をしましょう。

失業給付は、申請しないともらえないものですから、その後転職先が決まっていない場合は、退職後すぐにハローワークへ行くことをおすすめします。また、申請には会社から離職票をもらう必要があります。この離職票をもらうのが遅くなると、失業給付の申請も遅くなってしまうので、退職後すぐに離職票が貰えるよう、会社に依頼しておきましょう。

また、会社都合退職の場合、失業給付が貰える期間が自己都合退職の場合より長いことも見逃せません。退職金をもらったからお金には困ってないし。。などと思わず、必ず申請しましょう。

なぜなら、仮に早く再就職が決まった場合、失業給付をあまりもらわなくても、本来給付される期間分の約7割の金額(場合によっては6割)が、転職してから「再就職手当」という一時金でもらえるのです。

「再就職手当」は、失業給付の受給申請をしていないともらえません。せっかく雇用保険も払っていたのですし、基本的な失業給付である「基本手当」や「再就職手当」など、政府が用意している公的セーフティネットは、賢く利用しましょう。

【再就職手当の申請についてはこちらもどうぞ】

再就職手当の支給要件と申請方法【郵送OK】早期就職祝い!忘れずもらおう

自分の人生を見直し本当にやりたいことを見つけよう

40代で早期退職制度に応じて退職した場合、本当にリタイアするまではまだ20年近く残っています。

もし、それまで働き続けて貯蓄も十分すぎるほどあるし、もう働かなくてもいいなどの場合は必ずしも再就職の必要はないかもしれません。でも、そういう状況の方は多くないでしょうし、仮に40代で完全リタイアした場合でも、時間はあるわけですから、何もやらないというわけにもいかないでしょう。

ですから、これを機に、自分の人生を見つめなおし、本当に大事なものは何か、これからどういうふうに生きていきたいのか、考えることも良いと思います。

まだまだ、子供にお金がかかったり、住宅ローンがあったり、悠長なことも言っていられないかもしれません。その場合でも、40代の転職は、結構長期戦になったり、苦戦することが多いものですから、しっかりと考えて方向性を決めてかかるほうが良いです。

これまでの仕事と同じ業界を目指すのか、経験した職種の切り口で業界は違っても同じ職種でいくのか、またはこれを機に資格を取得するなどして違うキャリアに挑戦するか。

そして、どんな人生にしていきたいのか、じっくりと考えて動きましょう。

40代は、もう若いとは言えないけれど、老齢ではない年代です。業界や職種によっては、40代から挑戦できるものも、沢山あります。

ちなみに、私は45歳の転職で、教育関係の資格職に転職しました。資格は学生時代に取得していましたが、未経験。新卒の頃につけなかった「憧れの」仕事でもあり、この年齢でこの仕事に転職できるなんて人生何があるか分からない、と思ったものです。上司も同僚もみんな年下ですが、楽しくやっています。未経験であることもあり、収入は減りましたが、ストレスは大幅減。これまで、自己都合、会社都合、転居などで、4回の転職を経験して、5回目の転職ですが、やっとずっと続けたい仕事に出会えて、がんばっているところです。

私の知り合いは、48歳で会社都合退職をし、フォークリフトの免許を取り、長年の事務職から現場職に転職しました。まさかの転身だったようですが、必要とされる資格職のため生き生きと働いています。

40代の転職で、そんなこともあります。ですから、早期退職制度に応じて退職、転職を決める場合に、転職活動で苦戦しても、粘り強く挑戦していきましょう。

転職エージェント、転職サイトに登録しよう

これからの人生の方向性を検討しながら、転職エージェントや転職サイトに登録していきましょう。

転職エージェントや転職サイトに登録すると、自分で考えている他に沢山の情報を得ることができます。また、自分が転職市場でどれくらいの転職可能性を持っているかとか、市場価値(要は、そのスキルや経験で年収いくら相当なのか)を見ることができたり、一つの会社にいると測れない自分の能力などを客観的に知ることができます。

ハローワークでも求人情報は検索できますし、キャリア診断を受けたり、応募書類や面接のサポートを受けることはできます。ただ、転職エージェントや転職サイトでは、ハローワークにはないクローズの求人があったり、エージェントの場合は成功報酬になっているので親身になってアドバイスをしてくれることも多いです。

また、登録する転職エージェントや転職サイトは、中高年に強いところにしましょう。

40代以上の転職も多くなっているとはいえ、やはり、20代や30代の転職市場の方が活発です。ですから、登録しても40代以上の求人情報があまりないのでは意味がありませんから、中高年に強いエージェントやサイトに登録しましょう。

私がお勧めしているのは、以下のエージェントやサイトです。どこも全て無料で利用できますので、気になるところはチェックしてみてください。

40代におすすめの転職サイト&サービス

リクルートエージェント 業界最大級の情報量と実績がある転職エージェント。迷ったらまずはここに登録しましょう。

MIIDAS(ミイダス) ※人材大手のインテリジェンスが運営する転職サイト。職務経歴や経験・スキル情報から自分の市場価値を診断できるサービスが秀逸です。意外な適職が見つかる可能性も。転職市場チェックのためにも登録すると良いです。

キャリコネ ※求人情報のほか、企業の口コミが登録されています。無料登録で口コミや面接体験レポートも読め、利用価値大。

はたらいく ※リクルートが運営する地域密着型で、職場環境や人間関係等の仕事観から検索できる機能がある転職サイト。自分らしく働きたい40代におすすめ。

シゴト.in ※大手求人情報サイトからハローワークまで、様々な業種、職種、エリアの求人情報が探せます。まずはこちらに登録して気になるところは応募してみましょう。

東京しごとセンター ミドルコーナー ※東京都が運営する30歳~54歳向けの就職サポートセンター。求人紹介、キャリアカウンセリングや就職活動サポートなど全て無料で受けられます。都内への就職を希望する人ならだれでも利用OK。

ハローワークも転職エージェントも中高年専用転職支援機関も全部利用して活動しよう

転職エージェントやサイトに登録して情報を集めながら、ハローワークでも情報をチェックしましょう。特に、地方在住者や、地方での就職を考えている場合には、地元を良く知っているハローワークの求人情報も見逃せません。

以前は、ハローワークの情報や対応はイマイチだと言われていたこともあるようです。でも、私自身も45歳の転職で利用しましたが、中高年向けの求人情報も多く、また、ハローワークが主催するセミナーや、失業保険を使った公的職業訓練機関の情報ももらえたりするので、40代でのキャリアチェンジや再就職に、ハローワークは欠かせないと実感しました。

これについては、こちらの記事にも書いているのでご興味がある方はお読みください。

40代でも再就職できる!40代の負けない再就職活動成功のポイント

また、東京しごとセンター ミドルコーナーなど、40代以上専門の公的な就職支援機関の利用も有効です。

転職エージェント、転職サイト、ハローワーク、中高年就職支援機関、個人的なコネなど、あらゆる情報を活用して、良い転職を叶えるよう粘り強くがんばっていきましょう。

絶対行くべき!40代の転職なら中高年就職支援機関~東京しごとセンターミドルコーナーなど

まとめ

40代で早期退職に応じた場合、その後どうするかについて書いてみました。

40代で、割増し退職金をもらって一時的にお金持ちになった状態で退職しても、40代はまだまだ若く、長く生きていく年代です。住宅ローンや、子供の教育費など、出費がかさむ年代でもあります。老後資金の問題もありますよね。

40代という、もう若年とは言えないけれども、老後まではまだまだある大事な年代に早期退職を検討しているあなたが、その後の人生をより輝かせていくために、しっかりと準備をして後悔のない選択ができますように。