『退職代行』40代以上が3割!?退職代行サービスのリアル

このところ「退職代行サービス」という言葉をよく聞くようになりました。

退職代行サービスは、上司が怖い、パワハラに遭っている、退職願いを受け取ってもらえない、病気になってしまい会社と退職交渉をするのがしんどい等の理由で、「辞めたいのに辞められない人達」からの強いニーズがあるサービスです。

テレビの特集番組や退職代行サービス会社の宣伝などを見ると、退職代行サービスは、20代や30代など比較的若い人の利用が多いのかな、という印象を受けます。でも私と同じ40代にも、過労により心身ともに追い込まれ、会社に辞めたいと言いたくても言い出せない、そのまま逃げたい人はいるように思います。

実際、私の身近な友人でも、40代後半で仕事のストレスによりうつ病を発症して出社できなくなり、辞めたい意思表示もうまくできずに、うやむやな形で辞めたケースがあります。

その友人が「退職代行サービス」を知っていれば、もっとうまく会社と交渉できて、有給休暇取得や傷病手当金の申請をしてから辞めることなどもできたかもしれないとも思うと残念です。

そこで、退職代行サービスをもっとよく知るために、テレビや宣伝などではなく、実際の退職代行サービスの現場が分かる書籍などを探してみました。

そうしたところありました。現在退職代行サービスの提供で活躍されている弁護士の小澤亜希子さんが書かれた『退職代行 「辞める」を許さない職場の真実』。

この記事では、この本を通して見えてきた退職代行サービスのリアルをご紹介します。

『退職代行』著者小澤亜希子弁護士の弟さんの悲しいエピソード

まず、著者である弁護士小澤亜希子さんが、退職代行サービスを始めるきっかけとなったのが、ご自身の弟さんの死であることに衝撃を受けました。

小澤さんの弟さんは、大学を卒業して入社した会社で働き始めて半年たった頃、突然亡くなりました。朝起きてこないのでお母さまが起こしに行ったところ、既に亡くなっていたのです。

解剖医の話では、睡眠中に何等かの原因で突然心臓が止まってしまったとのこと。

その後、弟さんのスマホの検索履歴から

「仕事 辞めたい」
「仕事 辞め方」

といったキーワードで検索していたことが分かったそうです。

入社半年の若い命が、こんなにも突然消えてしまったのです。もし、あの時に弟さんが「退職代行サービス」を見つけていたら、この世を去らずに済んだかもしれない。普通の日々を過ごせていたかもしれない。

その後、小澤さんは、2018年の夏にネットニュースで「退職代行サービス」を知り、既に弁護士として活躍されていたことから、すぐに退職代行サービスを始めたそうです。

実際、退職代行サービスを利用する人の中には、心や体が病気になっている人も少なくないそうです。そういう人が、辞められないことでもっとひどい状況にならないように、最悪なケースに陥らないように、悲しむ家族がいなくなるようにという思いが、小澤さんの退職代行サービス業務に込められているそうです。

退職代行サービスを利用するのは若い人だけじゃない。40代以上が約3割という事実

退職代行サービスは、LINEでの連絡が多かったり、マスコミでの取り上げられ方などにより、20代や30代などの比較的若い世代の利用者が多いように見える面があります。

でも、実際、小澤さんの事務所が受任しているケースでは、30代が30%と一番多く、続いて20代が28%、そして、40代は21%、50代以上も7%いると紹介されています。

つまり、40代以上の方が28%、約3割も占めるのです。

また、辞めたい会社の規模も、中小企業が多いかと思いきや、従業員数100人~1,000人以下の会社が32%、従業員数1,000人超の会社に勤める人も21%もいるそうです。

大きければ労使関係もスムーズかというと、そうでもないということでしょう。

ですから、退職代行サービスは、いわゆる中小のブラック企業に勤める若い人たちだけのニーズではないということが分かります。

退職代行を利用する様々なケース

退職代行 「辞める」を許さない職場の真実』では、退職代行サービスを利用する様々なケースが紹介されています。

中には、「それだけ!?」と驚くほどに簡単な(ように見える)ケースもあります。が、当事者にとっては、自分ではできないから退職代行サービスを依頼しているのです。

もし、あなたが退職代行サービスを利用しようかどうか迷っている場合、色々なケースを知ることで、自分でもできるかも。。と思えば自分でやってみても良いし、やっぱり、自信がないな。。というならば退職代行サービスを利用しても良いし、色々なケースを知るというのは良いことかと思います。

退職代行を利用する本当のメリット

退職代行 「辞める」を許さない職場の真実』では、著者の小澤亜希子さんが、退職サービスを開始してから400件ほど受任して見えてきた、退職代行サービスの現状や、いわゆるブラック企業のリアルをあぶりだしています。

ブラック企業の見分け方や、退職代行サービスを利用する注意点、損害賠償請求のリスクや、手続き書類の問題など、「辞めたいのに辞められない」場合の問題が分かるのも良いのですが、最後の章「幸せになる生き方」のメッセージが秀逸です。

自分の幸せは自分の頭で考える
シンプルに毎日の小さな幸せを実感する
そして、幸せになれる働き方を選択する

これが幸せになる生き方だというのです。

そのために、今の会社を退職するのがベストならば退職して新しい道を探す、そのために退職代行サービスの利用が好ましいなら利用すれば良い、というスタンスです。

確かに、仕事は私達の生活の大部分を占めます。時間も、場所も、豊かさも、出会う人も。沢山のことが仕事に左右されます。

でも、「たかが仕事」のために健康や命を失うようなことがあってはいけない。

もし、あなたが、健康や命をリスクにさらして今の仕事を続けていて、本当は辞めたいのに辞めることができないのであれば、退職代行サービスを使ってでも今の仕事から逃げ出し、本来のあなたの人生を取り戻してください。そうして、もっともっと幸せになりましょう。

弁護士による退職代行サービスがおすすめなわけ

退職代行 「辞める」を許さない職場の真実』では、弁護士による退職代行サービスが勧められています。

著者の小澤さんが弁護士だからというのはもちろんあると思います。が、退職代行サービスは、弁護士ではない「非弁業者」が行なうケースもあり、非弁業者にはできないことがあるためです。

非弁業者であっても、退職代行サービスを行うことは適法です。ただ、あくまで退職手続きについて会社とのやりとりの事務手続きを代行するのみです。法律的なアプローチが必要な、最終月の給与、有給消化分の給与、残業代、退職金、パワハラ慰謝料の請求、会社から損害賠償請求をされた場合の交渉などは、非弁業者にはできません。

弁護士による退職代行サービスであれば、このような場合にも対応できます。

ですから、こじれそうなケースや、会社が弁護士としか交渉しないなどと言っている場合は、弁護士による退職代行サービスを依頼するほうが良いでしょう。

ここでは、弁護士による退職代行サービスのおすすめをご紹介します。参考にしてみて下さい。

弁護士による退職代行サービス 2選

センチュリー法律事務所
※著者の小澤亜希子さんが在籍する法律事務所。

汐留パートナーズ法律事務所
※弁護士による退職代行サービスとして大手。

まとめ あなたを蝕む会社なら必要に応じて退職代行サービスを使ってでも退職して幸せな働き方を見つけよう

若い方を中心にニーズがあると言われる「退職代行サービス」。でも実際には、40代以上の方の利用も多く、利用者の勤務企業属性も、中小企業に限らず、大企業も多いことが分かりました。

今回ご紹介した『退職代行 「辞める」を許さない職場の真実』では、退職代行サービスを軸に、退職代行サービスの現状、ブラック企業の見分け方、退職代行サービス業者の選び方などを読むことができます。

「退職代行サービス」存在の是非論はあるかもしれません。でも、実際に辞めたいのに辞められない人がいて、そこにニーズがある以上は、社会にとって必要なサービスなのだと思います。

そして、一番大切なのは、このブログでは、この本をご紹介することであなたに退職そのものを勧めているわけではないということです。また、退職代行サービスをどんどん利用しようといいたいわけでもありません。ただ、「辞めたいのに辞められない」ときには、退職代行サービスを使ってもいいんだ、ということをお伝えしたいのです。

あなたをダメにする会社を辞められずに壊れてしまうより、退職代行サービスを使っても何でも、その会社から逃げること。会社にとっては、あなたの代わりはいくらでもいます。でも、あなたの人生ではあなたが主役です。

もしあなたが、辞められずに終わりの見えないアリ地獄のような日々を過ごしているとしたら、そこから抜け出していいんですよ。あなたの人生を生きていきましょう!

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