「気持ち」に負けない

今、あなたが人生の悩みにさいなまれているとしたら、無理に「勝とう」と考えなくても大丈夫です。

特に、あなたがもう40代以降であれば、これから勝ちに行くのは、相当のエネルギーが必要です。

でも、勝たなくても大丈夫。

これまであなたは、十分がんばってきたんだから、これからは、負けなければそれで大成功なんです。

では、何に負けないことが大切なのでしょうか?

気持ちに負けない

まずは、「気持ち」です。「感情」ともいえるでしょう。

ここでの「気持ち」や「感情」は、「ネガティブな気持ち」のことです。ポジティブな「楽しい!」「幸せ!」「大好きだ!」「美味しい!」という気持ちには、どんどん自分を浸らせて明るい気持ちに包まれて行って大丈夫です。

ですが、次のようなネガティブだったり、ストレスフルな気持ちは要注意です。

これからの気持ちには「負けなければOK」

・がんばらなきゃ、という気持ち
・勝たなきゃ、という気持ち
・どうせ私なんて、という気持ち
・何やってもうまく行かないから今度だってダメだよ。。という気持ち
・焦ってしまう、気持ち
・もう頭にきた!どうにでもなれ、という気持ち

・(ダイエット中で)ここで食べたら太るけど食べたい。。という気持ち
・(禁煙中で)吸いたい、という気持ち

こんな気持ちには「勝つ」ことではなく「負けない」と思うことで、気付いたら好転していた、ということがあります。

最後の二つの、ダイエットと禁煙はちょっと違うかも。。とも思いますが、でも、本質的にはそんなに変わらないと思います。要は、その気持ちに負けずに、食べたり吸ったりしなければ、目標を達成することができるわけで、すなわちそれは、成功した、ということだから。

特に気を付けたいのは「怒り」という気持ち

中でも、私が気を付けたいと思っていることは「怒り」の気持ちです。

「怒り」は、何かが起こったり、相手が思うようなことをやらなかったりして生じることが多いですよね。自分が失敗をして「怒る」こともあるでしょうが、それより、誰かや何かに対して「怒り」を感じることの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。

すると、「怒り」は、自分ではなく、誰かや何かに向かってしまいます。

この気持ちをそのままむき出しにすると、本当に危険です。だって、そのままむき出しにするということは、あなたの「怒り」が向いた、「誰か」や「何か」を傷つけてしまうことになりますから。

一度傷つけると、なかなか元には戻りません。

「怒り」が「誰か」に向いたとき、最悪の場合には、修復不能な関係にまでなってしまうことがあります。

45歳で多くのものを失うまでの私は、この「怒り」の気持ちをコントロールすることができずに、本当に沢山のものを失ってきました。

ものだけでなく、人間関係も。

夫の不貞をどうしても許せずに「怒り」をむき出しにしたことで、離婚は調停にまでもつれ込み、元夫とは友達にも戻れませんでした。

パワハラをした元上司への「怒り」は、そのまま相手に伝わり、会社を辞めることになりました。

私を誤解した上司への鎮められなかった「怒り」は、その後の上司との関係を冷え切らせました。

今、胸に手を当てて静かに思い返してみると、子供の頃から45歳まで、本当に沢山の関係を「怒り」に負けたことで、壊してきてしまいました。

「怒り」を鎮め、「怒り」に負けなければ、今でももっと広がっていた人間関係もあったかもしれません。

そもそも、人生は思い通りにいくことばかりではないのです。

人は、一人で生きているわけではありません。「生きている」だけで、否が応でも、人間関係の中に組み込まれるのです。

それは、個人的な家族という関係かもしれない。
職場という毎日の、そして、利害関係がある関係かもしれない。
近所づきあいという、逃れられないものかもしれない。
友達というものかもしれない。

どんな関係にせよ、私たちは、人間同士のつながりの中で生きている以上、思うようにいくことばかりではありません。

その中で、「怒り」を感じることもあるでしょう。「やるせなさ」を感じることもあるでしょう。

でも、そんな「怒り」をすべて爆発させて相手にぶつけていたら、あなたはいつしか孤立して、誰も相手にしてくれない寂しい人生を送ることになってしまうでしょう。

ですから、「怒り」が爆発しそうになったときは、この爆発に負けてはいけません。

怒りに負けずに、やり過ごしましょう。

「怒り」に負けない方法

では、どうやったら「怒り」に負けないことができるのでしょうか?

「時間」を味方につけて「怒り」の気持ちが鎮まるのを待つのも良いでしょう。

「そんな悠長なことは言えない、もう、この気持ちを相手にぶつけないと自分が壊れてしまいそうだ!」というほどの怒りに煮えたぎっている時は、これはもう、「堪(こら)えてえてください」と言うしかありません。

堪えましょう。

ぐっと深呼吸して、「怒り」に負けないで。

握りこぶしを握って、おなかにぐっと力を入れて、目を閉じて、暴れまわる「怒り」を客観的に感じましょう。そうして、怒りが疲れ切って静かになるのを待ちましょう。

そうするしか、ないのです。

そのうえで、もし、客観的に相手に非があるのか、仕方がなかったのか、許せるのか、深呼吸して考えてみましょう。そして、客観的に見て相手に非があり、どうしても伝えたいと思ったならば、相手を責めるのではなく、「私は、このことで傷ついた」とだけ伝えてみてはいかがでしょうか。

ただ、そう伝えることで、相手がどんな反応をするかは分かりません。

もし、相手の反応で、新たな怒りが生じてしまうなら、「流す」のも一法です。悔しい気持ちも残るかもしれません。でも、これができれば、少なくともあなたは「怒りに負けなかった」ということ。

これだけで、大成功なのです。

負けなければ絶好調です。「負けない」、それだけで。