秋に種を蒔き、厳しい冬を越し、春に花を咲かせる菜の花のように

45歳の時無職になった私は、しばらく家でインターネットを使って仕事をしていました。

朝から晩まで、ひたすらPCに向かう毎日。時には夜中までも。最初の1か月で複数運営するブログに200記事近く投稿し、徐々に収益が上がり始めました。

しかし、3か月目に思わぬ失敗。やっとの思いで上げた見込み収益がゼロになり、絶望感に打ちひしがれました。

一瞬、もうやめようと思いましたが、ビジネスを教えてくれた先生に「ここで感情に負けてはいけない」と励まされ、再起することにしました。

45歳無職だった私が「負けない生き方」に気付いたきっかけ

また同時に、やはり、不安定なインターネットの仕事を生活の柱にするのは時期尚早と判断。就職活動を開始したのでした。

そして、10社受験したところで内定をいただき、ひとまず安定した仕事を得ることができました。

就職が決まり、気持ちの落ち着きを取り戻した私は、3か月間家にこもりっきりで落ちていた体力を戻そうと、散歩に出ることにしました。

季節は春。無職になったのが真冬でしたから、それから3か月たち、すっかり暖かくなった春の空気に、気持ちが和み、前向きな力が湧いてくるように感じたものです。

菜の花は、冬の寒さに耐えてこそ春に花開く

春の野道で際立った存在感を出しているのは、あの鮮やかな黄色の菜の花でしょう。

菜の花は、今では菜種油を取ることも少なく、おそらく春の野を彩る花としての役割と存在感の方が大きいのではないでしょうか。

また、うちの方では「摘み菜」と言って、花が咲く前に後から後から生えてくる新芽を摘み、ゆでていただきます。糖度が高く、すごく甘くて美味しいのです。

この「菜の花」または「摘み菜」は、春にあんなにも甘く美味しい菜に育ち、それを過ぎるとあんなに鮮やかな美しい黄色い花を咲かせるものですが、実は、この豊かな糖度や、鮮やかな黄色は、寒さに耐えてこそなのだそうです。

菜の花の種を蒔くのは、秋。

そして、冬の寒さの間に育つのです。霜が降りても、雪が降っても、寒い風に吹かれても、育つ。

むしろ、厳しい寒さを越えないと、しっかり育たないのだそうです。

春に実る甘さと、鮮やかな黄色は、寒さに負けず耐えてこそのもの。

そう考えると、私たちが、仮に今「真冬」と思えるような厳しい状況に置かれていても、それは春に甘く、鮮やかに、堂々と咲くための準備なんだとなぞらえることは、できないでしょうか?

というか、ちゃっかりと、そんなふうに考えてみたらよいと思いませんか?

あなたは今、どんな状況にいるのでしょうか?

何かに失敗して落ち込んでいますか?
仕事を失い、希望が持てずにいますか?
長い間、病に苦しみ、明るい希望が持てずにいるのでしょうか?
結婚生活が破綻して、独りぼっちになってしまったのでしょうか?
どん底にいる、そんなふうに感じていませんか?

もしあなたがそんな状況にいるならば、今はあなたにとって冬、つまり力を蓄える時なのかもしれません。

何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く。

上の言葉は、シドニー五輪のマラソン金メダリスト高橋尚子さんの恩師中澤正仁先生の言葉だそうです。

マラソン選手になって3年、不調で結果を出せなかった高橋選手は、この言葉を胸に練習に励んだといわれます。

不遇、あるいは、結果が出せないときや、どん底と思う時は、下へ下へと根を伸ばしていく時なのでしょう。人生は、悪いことばかりはつづきません。逆に、良いことばかりも続きません

人の幸不幸の量は総じて同量だともいわれます。

だから、あなたも、今どん底にいると思っても、その状況に負けず、下へ下へと根を張りましょう。

根がはれば、大きな木に育ちます。大きな木には、沢山の葉が芽吹き、沢山の花が咲き、沢山の実がなることでしょう。沢山の鳥たちが遊びに来ることでしょう。

ジャンプするにはかがまなければいけないように、春を迎えるには冬があることに意味があるのだと思います。