45歳無職だった私が「負けない生き方」に気付いたきっかけ

私は、45歳の頃、無職になりました。

原因は、「万能感」を「自己肯定感」とはき違え、極度の「自己承認欲求」に支配され、精神状態が躁だったにも関わらず「自分で始めたビジネスで一発大逆転できる」と思い込み、自分の力を過信して、長年勤めた会社を辞めたためです。

つまり、「万能感」という鬼に負けたからです。「万能感」については、後述します。

当時、私は、勤めていた会社の仕事が、ひどく苦手な仕事内容だったにも関わらず、「家族のため」という名目のもと、単身赴任や長時間残業が続きながらも我慢して続けていました。精神的には全く満たされない状態でした。でもその状態を直視して、転職活動をしたり、その仕事と両立して小さな生活の楽しみや幸せで埋め合わせる努力をしたりは、していませんでした。

「仕事は嫌いだし、出世もできていないけれど、本当は私はもっとできるんだ!」と、SNSで「いいね!」をもらうと満足する「自己承認欲求」の虜になったり、自分はなんだってできるんだと思う「万能感」に支配されたり、「絶対自分に成功できないわけがない」という過信で自分を満たしたりしていました。

実は、その会社に入社する前、元夫の不貞による離婚、突然置かれたシングルマザーという立場、突然のリストラ、パワーハラスメント等、「どうして私ばかり。。」という人生の危機に沢山あってきました。

もともと、一生懸命努力して大学を卒業し、資格試験に挑戦したり、ステップアップの転職をしたり、努力を重ねてきたのです。それなのに、「晴天の霹靂」と思えるような出来事によって、それまでの努力が散らされてしまうような経験をしてきました。

まるで、賽の河原で子供達が石を積み上げて高くしていると、鬼がやってきて蹴散らかしてしまうように。。

そんな経験から、「私はもっと幸せになっていいはずなのに、何かに邪魔をされていつも壊されてしまう。だから、今の私は本当の私じゃない。私はもっとできるんだ。こんなもんじゃないんだ」という思いにいつもとらわれてしました。

もっと冷静に受け止め、客観的な目で「こういう立場なんだから、身の丈は何か?この中で、どう生きていけばいいのか」という風に考えをシフトせずに、「これは本当の私じゃない」と、いつも思ってきてしまったのです。

そして、ついに副業でインターネットビジネスを開始。「大きく稼いで、いつか周りを見返してやる!自分らしく生きてやる!」と思い、勢いで始めたのです。

それでもなかなか軌道に乗らず、その過程で詐欺にあったにもかかわらず、まだ「自分は何でもできるんだ」という錯覚をもたらす「万能感」に支配されて勢いで会社を辞めてしまったのです。

「まだまだ、私は大丈夫。絶対私なら成功できる。一発大逆転してやる!」と。

でも。。

そんなに甘くはありませんでした。

専業でインターネットビジネスを始め、必死に3か月やってある程度の利益を出せるようになったところ、ちょっとしたつまづきで、また振り出しに戻ってしまいました。

インターネットビジネスで、3か月目である程度の利益が出るようになったことそのものは、順調と言えます。

でも、とあることから、また収益がゼロリセット。。。

その時、また私は「どうして私ばっかりこんな目に遭うんだ!!!」と、気持ちが切れ、泣き叫んでしまいました。

そして、ビジネスを教えてもらっていた先生に、泣きながら「もう、やめます」と言ってしまったのです。

すると、先生がおっしゃいました。「ダメです。ここでやめたら絶対ダメ。いいですか?ビジネスは、最初からうまくなんて行きません。これまで、3か月でここまで収益を上げられるようになったのは、順調にいきすぎていたんです。成果が出ていないのなら、諦めても仕方がないかもしれません。でも、あなたは成果を出しているんです。だから、絶対にやめてはいけません。もう一度、立ち上がって、再起するんです。」

さらに、「あなたが一番気をつけなければいけないのは、『感情のコントロール』感情に負けてはいけない。叫び出しそうな悔しい気持ちや焦りを感じることがあっても、絶対に負けてはいけません。」と。

「これまでも、たぶん、色々なところで『感情』に負けて、ゼロになってしまったものがあるでしょう。これからは、そこだけ、そこだけ気を付けてください。」と。

はっとしました。

確かに。。。私はこれまで、湧き上がる怒りや、焦り、悲しみ等をむき出しにして生きてきてしまいました。

離婚の時もそう。。不貞をした夫をどうしても許せずに追い詰めてしまった。

リストラの時もそう。。ふと別の仕事をしたいと思ったことをうっかり態度に出してしまっていました。。

苦手な仕事を続けてやめたときもそう。。我慢や熟慮をせずに、投げ出すような形でやめてしまった。。

詐欺師に騙されたときもそう。。冷静になることができずに、目先の損得だけで動いてしまった。。

 

そうなんです。

 

私がこれまで引き起こしてきた災難は、ほぼすべて「気持ちのコントロール」に失敗していたからなんです。

つまり、私がしてきた失敗は、「感情に負けたこと」が原因だったのです

「感情に負けた」ことがわかってから

ここに気付いてからは、「感情」をなだめ、常にニュートラルな気持ちでいるように心がけました。

特に、「ネガティブな感情」は、なだめたり、ただやり過ごして鎮まるのを待つようにしました。

怒りがわいたときは、「感情」という馬が暴れている、なだめようと、自分のお腹を「よしよし。。」と言いながらなでるようにしました。

不安に押しつぶされそうになった問は、「感情」という馬が疲れているとイメージして、目をつぶり、気持ちを落ち着かせました。

逆に、嬉しい時は、「感情」を自由に解き放つようにしました。

そういうことを心がけていたところ、再度就職活動をして定職を得、客観的で社会的な自分の立場を確立し、定収入を得ることで生活の基盤を立て直し、副業の方は副業で「プラスアルファ」と割り切って、できる範囲でやるようになりました。

不思議なもので、そのような生活を始めて暫くすると、気付いたら仕事を心から楽しんでおり、副業は専業にしていたころよりも収益が上がるようになっていました。また何より、家族と笑顔で話す機会が増え、自分自身も、満たされた心で日々を過ごすようになっていました

いや、不思議ではなく、当然のことなのかもしれません。

これまでの失敗の原因が、「気持ち」に負けたことだったと気づいたので、その原因でまた失敗しなように生き方を変えたからです。

「努力」や「自分はできる」と自信を持つことは、素晴らしいことです。

でも、それと同じくらいに「気持ちに負けない」ことはすごく大事です。いや「気持ち」だけじゃなくて、少しでもネガティブな要因になってしまうことには、勝とうとするのではなく、「負けない」ことが大切です。

「負けない」ことで人生は好転する

ここまで読んでくださっているあなたは、今、どんな状態ですか?

仕事はありますか?
仕事は順調ですか?
職場環境で悩みはないですか?
家族とうまく行っていますか?
友達と楽しく過ごせていますか?
健康ですか?
心は穏やかですか?
経済的な不安はないですか?

何らかの、不安があるのではないかな、と思います。

そういう場合は、その不安をまずはじっくりと、眺めてみてください。

たとえば、「無職で仕事が見つからない」ということが不安なのならば、その状態を、手で包み込み、優しくテーブルの上に載せるようにイメージしてみてください。

そして、そんな不安にさいなまれているあなたを、いたわってください。その不安の原因は、この、テーブルの上にフワンと乗った、「無職で仕事が見つからないこと」なんですよね。

そうしたら、その「無職で仕事が見つからないこと」を、よしよし、となだめて、暴れまわらせないようにイメージしてください。この状態を暴れまわらせて、あなたを支配してしまわせないようにするのです。

ポイントは、この「無職で仕事が見つからないこと」に「勝とう」と思わないこと。「負けない」ようにするんです。

不安は、すごく大きく大きくなると、暴れ出しあなたを支配しようとします。だから、それに「打ち勝つ」のが良いときもありますが、今、まさにあなた自身が、この不安に悩まされているとしたら、「勝とう」なんて思わないことです。勝つには、相当のエネルギーが必要だから。

そうじゃなくて、「負けない」だけでいいのです。

「負けない」のであれば、攻防すればいいだけ。攻防して、さらに打ち勝つパワーまで必要ありません。

そして、「負けない」ということは、支配されないことですから、負けなければ、つまり、勝てるのです。

ですから、あなたが、今、何かの不安に押しつぶされそうになっているとしたら、「負けない」ことを誓ってください。

「万能感」に負けないで

また、あなたが今「自分は何でもできるはずなんだから、そんなことに勝ってやる!」と思っているとしたら、ちょっと考え直す必要があると思います。それは、たぶん、「過信」です。

勘違いすると恐ろしいことを引き起こす「万能感」かもしれません。

40代にもなって「自分は何でもできる」と40代から一発大逆転をした人の成功談なんかを読んで「自分だってできる!!」と思い込んでいるとしたら、考え直した方が良い。

「何でも」はできません。だって、40代になれば、通常は、自分がどれくらいの立場にいるのかは、分かるでしょう?なんて、自分の能力を過信して勢いで会社を辞めた私に言われたくはないかもしれませんが。。

でも、そういう失敗をした私だからこそ、分かるのです。

もしかしたら、あなたがとらわれているその「自分は何でもできる感」は、自己肯定感や自信といったポジティブなものではなく、「万能感」という一歩間違えると非常に危険な勘違いかもしれません。

「万能感」は、「自分は何でもできる、特別な存在だ」と思い込んでいる状態を表す心理学上の言葉です。「全能感」とも言われます。

小さい頃は、よく見られるものですが、成長していく過程で、うまく行かないことがあると「ま、そんなこともあるかな~。自分にはできないこともあるんだな」と理解して、万能感が抜けていくのが通常です。

でも、何等かの原因で大人になってからも万能感が抜けずにいることがあります。

また、例えばビジネスで短期に大成功をした人が「万能感」にとらわれて「自分は何でもできる、特別な存在なんだ」と思い込み、投資に大金をつぎ込み失敗をする、など、大人になってからも「欲」のような形で出てきてしまうこともあります。

また、万能感は、躁うつ病の「躁」状態にも見られるものと言われます。躁の時は、自分ではすごく高揚感にあふれ良い精神状態と錯覚していますから、何でもできると思って、この時に、宝くじを大量に買ってしまったり、投資に大金をはたいてしまったり、競馬で大金をかけてしまったりという症状がみられるようになります。

そして、気付いたときには大金を失ってしまい、苦しむことになり、またうつ状態になるという悪循環を繰り返してしまうこともあるようです。

ですから、「健全な自己肯定感や自信」と「万能感」とはき違えて、「万能感に負けないこと」が、すごく大切です。

もし、あなたが、今「自分だけは大丈夫。絶対に成功できるんだ。自分は特別なんだ」と思い込んでいるとしたら、「万能感」に負けているのかもしれません。「万能感」は、そのときはよくても、後であなたを助けてはくれません。「万能感」に負けず、等身大のあなたで平穏な幸せをみつけていきましょう

45歳からは負けなければ大成功

人生、終わるまで何があるか分かりません。

今、あなたがどん底にいるな、と思っていても、これから先着実に自分を取り戻し、一歩一歩暮らしていくことで、小さな幸せが積み重なり、大きな、いや、あなたなりのささやかでも充実した花になって開くかもしれません。

もしかしたら、思うような大きな成功を手にすることはないかもしれません。でも、少なくとも、今のどん底に負けなければ、大成功です。負けない、それだけですごいことなのです。

「負けない」だけで大成功。45歳からはそう思って、もっと気楽に、あなたらしく生きていきましょう。