私たちロスジェネ世代、つまり就職氷河期世代は、学校を卒業して社会に出たときにバブル崩壊後で雇用環境が非常に厳しく、思うような就職ができなかった人たちが多い世代です。
就職氷河期世代の私たちは、2019年の今30代半ばから40代後半に差し掛かっています。本来ならば、社会に出る20代前半頃までに将来を見据えた仕事につき、着々と経験を積んでいるべき年代です。ところが、新卒の時期にそんな機会を逃し、非正規雇用や不本意な仕事を続けたためにキャリアが詰めず、その後雇用環境が改善したときには中途採用として採用してもらえるスキルがつかなかった人たちも多い世代です。
この世代がこのまま老齢期を迎えると、将来的にもっともっと大きな社会経済的な問題に発展してしまうことは容易に想像できますね。
そこで、2019年6月に、政府がこの「就職氷河期世代」が危機にあることをかんがみて、ようやく「就職氷河期世代支援プログラム」という3年間の集中支援プログラムを実施することを決定しました。このプログラムにより、今後3年間で、就職氷河期世代の正規雇用者を30万人増やすとのこと。
今時点で、正規雇用を希望しながら不本意に非正規雇用で働く人は少なくとも50万人いると見込まれています。また、長期無業者や、いわゆる引きこもりの方などまで含めると、支援対象となる人は100万人程度を想定しています。ですから、対象者100万人のうち3分の1を正規雇用者にしようという大きなプログラムです。
私達ロスジェネ世代としては、「やっと政府が我々の危機を日本全体の問題として捉えてくれたか」と安心する面と、「遅いよ」と思う面と、様々な思いで受け止めている人がいるのではないかと思います。
また、「就職氷河期世代支援プログラム」は政府主導のものなので、本当に実効性があるの?と不安に思わないこともありません。たとえば、ただのバラマキになってしまったりしないか、本当に支援が必要な人に届くのだろうか、結局は人出不足の業界への雇用の調整弁のような役回りにされるのではないかなど、不安なところを考えてしまうとキリがありません。
ただ、思うのは、できるだけ前向きにとらえていこうよ、ということです。
せっかく政府が支援してくれるというのだから、中身をよく見て、乗せてもらおうよ、人生を切り開くきっかけにしていこうよ、と思います。
そこで、こんなふうに私達ロスジェネ世代に向けられた初めての政府肝入りの支援策「就職氷河期世代支援プログラム」がどんなものなのか、具体的なものも少しだけ見えてきたようなので書いてみたいと思います。
「就職氷河期世代支援プログラム」の概要
「就職氷河期世代支援プログラム」は、「経済財政運営と改革の基本方針 2019(骨太方針2019)」の中に盛り込まれた方針です。
「就職氷河期世代支援プログラム」の概要は内閣府のホームページ「就職氷河期世代支援プログラム」で読むことができます。
PDFで掲載されていますので、ここでは概要を画像を貼り付けます。
大まかな趣旨は下記の通り。
◆基本認識
・支援対象の見込みは100万人程度
・3年間の取り組みで正規雇用者を30万人増やすことを目指す
◆施策の方向性
〇相談、教育訓練から就職まで切れ目のない支援
・SNS、政府広報、民間ノウハウ等を活用して支援策の周知徹底を図る
・ハローワークに専門窓口を設置
・地方自治体の無料職業紹介事業を活用したマッチングの仕組みを横展開
・仕事や子育てを続けながら受講できる資格取得等を目指すプログラム等
・短期間での資格取得と職場実習等を組み合わせた出口一体型プログラム
・人出不足業種等の企業ニーズを踏まえた実践的プログラム
・職業訓練受講給付金の給付
・採用企業側の受け入れ機会の増加につながる環境整備
・民間ノウハウの活用
〇個人の状況に合わせた丁寧な寄り添い支援
・潜在的な対象者への丁寧な働きかけ
・地域若者サポートステーションや生活困窮者相談支援機関の出張支援サポートの強化
・関係機関の連携促進
・断らない相談支援など支援の和の拡大
・ひきこもり経験者の参画やNPOの活用を通じた当事者に寄り添う支援 等
具体的なところはこれからのようですが、数値目標を3年間で30万人の正規雇用をめざすとしていることから、実効性のある施策が打たれていくことを期待します。
「就職氷河期世代支援プログラム」対象の主な業種は?建設、運輸。。
「就職氷河期世代支援プログラム」は、30代半ば~40代半ばの就職氷河期世代を対象にした支援プログラムです。この世代は、新入社員や第二新卒のように若くはないものの、将来65歳程度まで働くことを想定すると、20年~30年と、まだまだ働く時間はあります。
そんな私達就職氷河期世代の正社員を3年間で30万人増やすために、政府では、どんな業界や職種を想定しているのでしょうか。
このプログラムが議論され始めた頃から気になっていたのですが、2019年8月14日に日経新聞のネットニュースで少し具体的なニュースが飛び込んできたので、掲載します。
(前略)
⽀援の柱になるのは成功報酬型の⺠間委託だ。専⾨知識やスキルを教える⺠間教育機関 が⾮正規雇⽤者に半年程度の訓練や職業実習をした場合、国から経費の⼀部として最⼤ 20万円出す。さらに受講者が訓練などを始めてから8カ⽉以内に正規雇⽤の職に就き、半 年間きちんと働ければ追加で最⼤40万円を⽀給する。
短期資格取得コースも新設する。厚⽣労働省が⺠間の業界団体に委託し、希望者に1カ⽉ 程度の集中訓練をする。建設なら⼩型クレーンやフォークリフト、運輸なら運⾏管理者 や整備管理者などの資格取得を想定している。業界団体は資格を取った⼈に職場⾒学や 実習の場を提供する。
⾃⽴⽀援相談機関やひきこもり地域⽀援センター、ハローワークなどが連携して⻑い期 間、職に就けていない⼈の社会参加も促す。
政府の支援規模は3年間で数百億円になる見通し。政府は財源として雇用保険を充てる方針だ。
長い期間就業していない人や、単純労働に従事している人も多く、企業の求める人材とは異なる場合が多い。政府は職業訓練や資格取得など通じて、雇用のミスマッチを埋めたい考えだ。
状況に応じた的確な支援策を実施できるかが課題だ。特に助成金制度は「ばらまき」にならないように、効果を厳しくみる必要がある。
元記事はこちら
資格取得や職業訓練は、建設業や運輸業がまずは挙げられているようです。
また、支援サービス実施の柱は成功報酬型の民間委託。
対象となる職業訓練や業界がどこなのか、支援サービスの内容はどうなのか、私達支援を受ける側も情報をチェックしておきたいですね。
私個人的にも、業界は非常に気になっていました。人材ニーズや、雇用環境などを見ると、おそらく建設業や運輸業、それから介護事業や、ニッチなところで電気工事業などではと想像していました。先日のニュースで、「建設なら⼩型クレーンやフォークリフト、運輸なら運⾏管理者 や整備管理者などの資格取得を想定」と読み、なるほどと思いました。
これらの業界は、ずっと人出不足と言われている業界ですし、これからもニーズが無くなることはない業界です。建設や運輸には縁がないかも。。と思っている場合でも、国のお金で資格を取得して、正規雇用として働くことができるチャンスなら、乗ってみる価値はあると思います。
また、40代になってまでも新しい業界に挑戦するなんて難しいな。。という方でも、ちょっと勇気を出せば大丈夫だと思います。私も、45歳の転職で、未経験職種に挑戦しました。そして、今では楽しくやっています。
私の友人も、48歳の時に、それまで事務職だったのに会社都合で退職し、フォークリフトの免許を取り、元気に働いています。
【48歳でフォークリフトの免許を取って転職した友人の話はこちらからどうぞ!】
他に、40代になってから電気工事士の資格を取り現場で働いている友人もいます。
39歳で保育士の資格を取り40歳から保育園に勤務している友人、44歳で介護の資格を取り介護施設に転職した友人。。
みな「就職氷河期世代」です。就職氷河期世代支援プログラムの開始前でしたが、資格を取っての転身に成功しています。
ですから、もしあなたが就職氷河期世代で、今、非正規雇用を続けるしかなかったり、なかなか仕事が見つからないという状態ならば、ぜひ、今回の「就職氷河期世代支援プログラム」を利用して正規雇用の座をつかみ取りましょう。
「就職氷河期世代支援プログラム」の詳細は、これから出されると思います。私もチェックしていきますが、あなたも是非、ニュースなどでチェックしてみてくださいね。
また、就職氷河期世代支援プログラムと合わせて、転職サイトや転職エージェントで求人情報をチェックすることをおすすめします。自分で積極的に動いていきましょう。
自分らしく働きたい40代におすすめの転職サイト・転職エージェント5選
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がんばりましょう、40代ロスジェネ、就職氷河期世代!
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