この頃、「給付型奨学金」の話をよく聞くようになりました。2018年から日本学生支援機構による給付型奨学金が本格的に始まり、2020年度からは大幅拡大とのこと。
40代にとって子供の教育費は、今まさにここにある大問題。ですからよく調べて利用できるなら利用させていただきたいところです。
その他、調べると、企業を母体とした財団法人によるものや、自治体や大学独自のものなど、給付型の奨学金はかなり沢山あります。
日本の場合、旧来は奨学金というと日本学生支援機構の貸与型が多く、今、貸与型の奨学金を受けて大学を卒業したものの就職がうまく行かずに返済できなくなっているケースも問題になっています。
日本学生支援機構の奨学金は、「奨学金」というより「金融事業」として位置づけられていたようです。日本学生支援機構の前身である日本育英会では返済免除(教職や研究職に就くと返済が免除される制度など)がありましたが、金融事業のため返済免除の制度はなくなっているのです。
ただ、奨学金というのは、そもそも経済面から学生を支援して勉学に集中させて学業を修めたのちに社会で活躍してもらって社会に勉学の成果を還元してもらうものです。ですから、「貸与」の方がなじまず、「給付」が普通なのではと思います。
実際、外国の例では給付型が多いようです。そういう意味では、給付型奨学金の大幅拡充により、日本がようやく世界のスタンダードに近づいてきたと言えるかもしれません。
私事ですが、我が家にも来春大学進学を希望している子供がいます。本人は、今、受験勉強を頑張っているところですが、親としては学費面で子供の心配を取り除く義務があるな~と、奨学金について調べています。
40代のロスジェネ世代にとって、子供の教育費は、今まさにそこにある大問題。親にお金がないから進学を諦めさせるということは、できれば避けたいですよね。
たまに「家が貧乏だから反逆精神で頑張った」という素晴らしい話を耳にすることがあります。だから、うちの子も!と期待したくなりますが、実際大学教員をしている友人の話によると、そういうケースは少ないそうです。それより、親が経済的に困窮したことで、ナーバスになり困難に陥る学生の方が多いそうです。
やはり、子供をしっかり育てるには親がドンとしていること。もしお金が十分にない場合も慌てずに、お金がないから子供を進学させられないと決めつけないこと。それより、お金を集める方法を考えること。
学費に関しては、給付型奨学金の制度が整いつつある今なので、どんどん情報収集して、子供の明るい将来を一緒に作っていきましょう。
今回は、受験生の親として調べている中で分かってきた給付型奨学金についてご紹介します。
2020年から対象拡大!日本学生支援機構による給付型奨学金
日本学生支援機構による給付型奨学金は、高等教育無償化政策の一つとして政府のバックアップの元実施されるものです。実は、日本学生支援機構による給付型奨学金は、2018年から始まっていますが、2020年度から対象を広げ、給付額も増額することで、注目が集まっています。
では、実際にどんな人が対象で、どれくらいの額がもらえるのでしょうか。
申込対象者については、2019年8月現在公開されている情報では、来春から大学や専門学校等に進学する人が対象です。
(1)2020年3月に高等学校等(本科)を卒業予定の人
(2)高等学校等(本科)を卒業後2年以内の人
選考には、学力と収入・資産の基準全てを満たしている必要があります。
以下の1.もしくは2.のいずれかに該当することが必要です。
1.高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること(※1)
2.将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること(※2)
※1 専修学校の高等課程の生徒等は、これに準ずる学修成績となります。
※2 学修意欲等の確認は、高等学校等において面談の実施又はレポートの提出等により行います。
給付額により下記3つの区分があります。
【第1区分】:本人と生計維持者の市町村民税所得割が非課税であること(※1)。
【第2区分】:本人と生計維持者の支給額算定基準額(※2)の合計が100円以上25,600円未満であること。
【第3区分】:本人と生計維持者の支給額算定基準額(※2)の合計が25,600円以上51,300円未満であること。
※1ふるさと納税、住宅ローン控除等の税額控除の適用を受けている場合、各区分に該当しない場合があります。
※2支給額算定基準額(a)=課税標準額×6%-(調整控除額+調整額)(b)(100円未満切り捨て)
(a)市町村民税所得割が非課税の人は、(※1)の場合を除き、この計算式にかかわらず、支給額算定基準額が0円となります。
(b)政令指定都市に対して市民税を納税している場合は、(調整控除額+調整額)に4分の3を乗じた額となります。
◆収入・所得の上限額の目安
(日本学生支援機構HPより)
なお、収入は前年のものです。前年の源泉徴収票等で確認しましょう。分からない場合は、市町村役場に確認してください。
収入基準のほか、資産基準もあります。
本人と生計維持者(2人)の資産額の合計が 2,000万円未満(生計維持者が1人のときは1,250万円未満)であること。
※ 資産とは、現金やこれに準ずるもの(投資用資産として保有する金・銀等、預貯金、有価証券の合計額を指し、土地等の不動産は含みません)です。
基準を満たし、選考を通過すると、給付される金額は下記のとおりです。
通常の通学課程の場合、下記の通りです。下記の金額が、毎月振り込まれます。
なお、通信教育課程も対象になります。通信教育課程の場合は下記の通りです。通信教育課程は、下記の金額が、年1回振り込まれます。(月額ではないのでご注意ください)
上記の金額が、給付奨学生として採用されてから卒業するまで、世帯の所得金額に基づく区分(収入基準の3区分)に応じて支給されます。
通学課程の場合、卒業するまで毎月給付を受けることができるので、仮に第Ⅰ区分で、自宅外通学(遠方に進学したため寮やアパートで暮らす場合)ならば、3,201,600円もの奨学金を受給できるのです。
無理かも。。と思っていた子供の大学進学も、現実的なものになってくるのではないでしょうか。
対象になるならば、ぜひ申し込みましょう。
また、対象となる進学先は国から対象となることの確認を受けた学校です。確認大学等は、2019年9月以降に国または自治体より公表される予定です。しっかりと確認しましょう。
日本学生支援機構による給付型奨学金の収入基準を超えるが転職で収入激減!対象になるの?
日本学生支援機構による給付型奨学金は、本人や生計維持者の収入や資産基準がはっきりとしています。また、収入については、前年の収入で見るので注意が必要です。
というのは、大学入学世代の親の世代は、転職をする可能性もあり、転職により収入が減った場合に、前年の収入で審査されるため対象にならない場合があるのです。
私の場合も、前職では収入基準に該当しないのですが、その後一時期無職になり転職した経緯があるので、翌年の収入で見ると収入基準に該当することも考えられます。
その場合には、申し込みができるのか日本学生支援機構に聞いてみました。
そうしたところ、翌年収入基準に該当するようならば申し込み可能とのこと。今は、新しい制度のため高校3年生が申請の対象になっていますが、制度発足後は大学生向けの募集があるとのことなので、その際に検討することができるそうです。
もし、家計状況が大きく変更する場合には、その時に申し込めるかどうかチェックしてみましょう。
日本学生支援機構の給付型奨学金は、どうやって申し込むの?
日本学生支援機構の給付型奨学金は、在籍している学校を通して申し込みます。2020年度の申し込みは、在籍している高等学校を通しての申し込みになりますので、高校に問い合わせましょう。
手続きの流れについては、日本学生支援機構のホームページに掲載されています。こちらを確認してみて下さい。
給付型奨学金は他にもある!民間企業等を母体とした財団法人による給付型奨学金
高等教育無償化の施策として、2020年度から拡充される日本学生支援機構の給付型奨学金が注目されています。こちらは政府の施策で、学力基準や収入基準、資産基準などかなり厳格な印象です。特に、収入基準は、基本的には住民税が非課税となる世帯かそれに準ずる世帯の学生です。
そのような世帯の方は必ず日本学生支援機構の給付型奨学金を申請すべきと思います。でも、その基準までの収入ではないけれども、大学の学費や仕送り代を捻出するとなると厳しい世帯も沢山あると思います。
そのような世帯も受給が可能となってくる給付型奨学金として、企業等が母体となった財団法人が主催する給付型奨学金や、地方自治体、各大学独自の給付型奨学金があります。
対象者や、収入などの応募基準、対象の学校などは、各奨学金によってそれぞれ違います。もちろん、奨学金の額も違います。そして、これらの奨学金情報は、自分で探しに行かないと誰にも教えてもらえないという場合が殆どです。
私自身も、給付型奨学金というと日本学生支援機構のものしか知りませんでした。でも、いざ子供の学費を考える段階で調べたところ、給付型奨学金は日本学生支援機構のもの以外にも沢山あることを知りました。
ここでは、給付型奨学金の例と、一覧が掲載されているウェブページ等をご紹介します。
【公益財団法人 キーエンス財団】
世界的な精密機器メーカーである株式会社キーエンスによる奨学金です。2018年6月に設立された新しい財団で、奨学金対象の大学や各部、卒業高校などを指定せず、財団が直接募集・選考を行うことが特徴です。
◆給付額:月額8万円を最長4年間給付(合計384万円)
◆募集人数:全国で125名程度
◆対象:学部系統を問わず4年制大学の新入生
◆申請期間: 2月~4月中旬(2019
⇒ 詳細は キーエンス財団 へ
【公益財団法人 似鳥国際奨学財団】
似鳥国際奨学財団は、ニトリ創業者の 似鳥昭雄さんが代表理事を務める財団です。
◆給付額: 月額5万円
(選考結果に応じて、優秀者には月額最大3万円の学習奨励金を追加支給)
◆給付期間: 2022年4月~2023年3月(2022年募集分)
◆募集人数: 最大100名
◆対象学生: 日本国籍を有し、学部課程の1~6年に正規生として在籍予定の者
(大学院生も含む)
◆募集スケジュール:
上期と下期に分かれての募集で、エントリー期間がそれぞれ違います。
詳細は、似鳥国際奨学財団のホームぺージで確認してください。
なお、似鳥国際奨学財団では、大学学部生のほか、中学生と高校生にも給付型奨学金も運営しています。中学生が対象の奨学金は殆ど見当たらないので、チェックしてみると良いと思います。
⇒詳細は 似鳥国際奨学財団 へ
この他に、指定高校から指定大学への入学のものや、大学や学校の縛りがないもの、金額も月額1万円程度から8万円程度など、多種多様な給付型奨学金があります。
下記のサイトを参考に、良い奨学金を探してみて下さい。
【奨学金. NET】
奨学金に関する情報がまとめられているサイトです。私設サイトのようですが、かなり充実した内容で参考になります。
【公益財団法人 助成財団センター】
研究や会議、団体などの助成金に関する情報が掲載されています。奨学金もその中の1カテゴリとして掲載されています。民間の財団法人に限らず、自治体主催のものや、大学等の学校主催のものも掲載されています。
助成財団センターのサイトで奨学金を検索する時は、下記の手順で検索してください。
⇒ トップページ 助成財団センター にアクセス
↓ 左上のバナー 「助成金情報」をクリック
↓ 助成プログラム検索 をクリック
↓ 「奨日内」をチェック
↓ 「現在募集中」「期間指定「期間を指定しない」のどれかをチェックして、下の「検索」をクリック
このように検索すると、どんな奨学金があるかが分かります。沢山の奨学金がありますので是非チェックしてみて下さい。
⇒ 助成財団センター
給付型奨学金だけじゃない!授業料減免制度も調べよう
ここまで、給付型奨学金についてご紹介してきました。日本学生支援機構だけではなく、他にも多くの給付型奨学金があることで、少し安心要素が出てきたのではないでしょうか。
また、学費援助という面では、政府主催または、大学や進学先独自の学費減免制度もチェックしておきたいところです。
政府主催授業料減免制度は2020年度からの施行が予定されています。
対象は、住民税非課税世帯。国公立大学ならば、省令で標準とされている入学金と授業料が減免されます。実際には国立大学により若干の違いはありますが、入学する大学の入学金や授業料が標準額であれば実質的に無償になります。
私立大学の場合は、入学金については私立大学の入学金の半額までを減免、授業料は私立大学の平均額を踏まえて国立大学の標準額との差額の2分の1を加算した額までが減免されます。
政府主催の授業料減免制度は住民税非課税世帯が対象です。しかし、日本学生支援機構の給付型奨学金と同じように、住民税非課税ではないけれど、学費を全て負担するのは家計への負担が大きすぎるという家庭は多いと思います。
そんな場合は、大学独自や地方自治体が主催する減免制度をチェックしてみましょう。
どの大学や地方自治体でどんな制度があるのかは、日本学生支援機構の下記ページで検索できます。ぜひ検索してみて下さい。
奨学金のことを学ぶのに役立つサイト「奨学金なるほど相談所」
奨学金について調べていると、色々なところに情報が散らばっていてなかなかまとまって調べることが難しいと感じます。高等教育無償化に向けての動きは始まったばかり。ですから、奨学金について新しい情報を得るには、新聞やニュースを注意していること、子供の高校や大学からの情報をチェックすることが大切です。
また、下記サイトは、株式会社まなびシードという進学情報会社が運営するサイトですが、奨学金のスペシャリストとして、非常に充実した情報が掲載されていておすすめです。
まとめ~子供がお金で進学を諦めないよう給付型奨学金情報収集して応援しよう
人生の三大出費の一つとされる子供の教育費。他の二つは、住居費と老後資金なので、これまた大切ですが、住居費は人によるところもありますし、老後資金はこれからコツコツ準備していくことも可能です。
でも、子供の教育費は、大事な子供の将来にかかわることですし、進学の時期は待ったなしです。
大変なことも多い子育て世代の40代、ロスジェネ世代ですが、子供の笑顔のためにも、奨学金情報収集をして、子供たちが勉強に専念できるようがんばっていきましょう。
【給付型奨学金についてまとめて知るならこの1冊】
「大学進学のための”返さなくてよい”奨学金ガイド」
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